農場このごろ
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グングン育つ加工用トマト
今年度、3年生の科目「食用作物」では、定番ともいえる生食用トマトの栽培に加え、加工用トマトの栽培にも取り組んでいます。この生徒たちは、科目「農産加工と商品開発」で農産加工品の開発にも取り組んでおり、その原料も自分たちで栽培しています。
深紅に熟した果実を一つずつ丁寧に収穫し、水で洗って冷凍保存し、適宜、加工実習していきます。
この品種には“加熱により甘みが増す”という特性があり、生徒たちはこういった加工用トマトの良さをみんなにも知ってほしいと、収穫した果実をきれいに袋に詰め、ラベルを貼り、調理レシピも添えて販売実習もしています。
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クリの花が満開
クリの花が咲くと、梅雨時の湿度の高い空気の中、農場全体がクリの花特有の香りに包まれます。
クリには雌雄同株(しゆうどうしゅ)という性質があり、同じ樹(品種)に着生する花に雄花と雌花の区別があります。さらに、同じ樹(品種)につく雄花と雌花は、お互いの満開期が異なるとともに自家不和合性が強く、例えば、地域の特産品である「銀寄」グリを確実に結果させるためには、「銀寄」の雌花と開花期が同じ雄花を持つ他の樹(品種)を近くに植え、風や昆虫の媒介による受粉・受精を期待します。
能勢分校の農場では、「銀寄」を中心に、その他の品種もたくさん栽培しており、6月上旬から各品種が次々と開花する中で、お互いの受粉・受精の確立が高まるように工夫しています。
今年はクリの開花期間中、2日程の雨天を除き、ほぼ晴天に恵まれたので、どの木にも小さなイガ(毬果)がたくさん着いています。それぞれしっかり成長しているようで、今秋の収穫が楽しみです。
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モリアオガエルの卵塊
自然が多く残る大阪府能勢町のあちこちで、ホタルの目撃情報が聞かれるようになりました。
本校の附属農場でも毎年多くのホタルが観られるので、5月下旬の昼間に、水路の周りや湿地状態の圃場に成虫がいないか捜索してみました。
残念ながら見つけることができませんでしたが(夜は乱舞していました)、散策を続けていると、17年前に整備したため池(湧き水が多いために整備した池)に覆いかぶさるように茂っている木々の先に、モリアオガエルの卵塊を十数個発見しました。
数日後、梅雨入りし降ってくる雨と共にため池に入るオタマジャクシにとっては、鬱陶しい天候も命をつなぐ雨になるようです。 -
育児圏と蜜圏の分離
大阪府にありながらも、大阪の最北部に位置していることから少し春の遅い能勢分校農場では、春の花々に加え、専攻生の実習で播種をしたゲンゲやナバナによって、ミツバチの健勢(けんせい:強い群れになること)を行っています。
5月上旬、立派に健勢の出来たミツバチの群れは、働きバチの数も多くなり巣箱の中では少しの隙間にもムダ巣を作るようになりました。単箱(1段目)と継箱(2段目)の中の巣枠に卵や幼虫、蛹が多く存在するようになったので、5月下旬頃からの開花が予想される『クリ』の集蜜を目指して、入念な手入れを行いました。
少ない日数で巣を出る蛹の巣枠を継箱に上げ、卵と幼虫が入っている巣枠とともに、女王バチを単箱に入れました。単箱と継箱との間に隔王板(かくおうばん:働きバチは通過できるが、女王バチは通過できない隙間がある板)を設置し、女王バチが継箱で産卵できないようにしました。そして継箱の蛹が羽化した後の巣房に、クリの蜜を貯めさせる段取りにしました。今回の作業も本来なら専攻生の実習で、丁寧に説明して理解を深めていくのですが、専攻生の姿も無い初夏の日差しの下、教職員もソーシャルディスタンスを保ちながら黙々と作業を進めていました。
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粛々と進む農場の水稲栽培
昨年、水稲栽培実習の終了と同時に播種されたゲンゲ(レンゲ)が4月上旬から花を咲かせ始めました。今年の柴黒米栽培計画により、ゴールデンウイークの初めころまできれいな景色を見ることができました。今年は鮮やかなパープルカラーのゲンゲで生徒の目を和ますことができなかったことが、少し残念な気もします。
4月中旬、種籾の消毒作業を行いました。その後1週間程度浸水し、少し根が出たころで種まき作業を行いました。安定した生育を行う、育苗機に入れる時期とゴールデンウイークとが重なり少し心配したものの、心配はどこ吹く風苗は順調に生育しました。
5月13日、本来なら一大イベントになる田植え実習が、専攻生の姿もなく寂しい中、粛々と職員によって行われました。まだ少し冷たい水の中、早苗が規則正しく整列していました。専攻生たちが柴黒米の早苗と早く出会え、栽培実習ができることを心から望んでいます。
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休校中の果樹利用Ⅰ
3月下旬、果樹利用で栽培しているモモの蕾が大きくふくらんできました。
蕾は、暖かい日をきっかけにぽつぽつと花を咲かせ始め、気が付けば枝にはモモの花が鈴なりになっていました。
将来、実になるための花なのですが、すべての花が果実になってしてしまうと、大きなモモができなくなります。そこで、例年なら果樹利用実習で行う摘花作業を教職員が手際よく行っています。上向きに付いた花(実になった時、鳥に食べられやすい・太陽の光で割れやすい・作業効率が悪いなど)や枝の先端に付いた花(実になった時、枝がしだれダメージを受けるなど)や枝の根元についた花(実になった時、大きくならないなど)を葉芽に影響を与えないよう、摘まむように取り除きました。
数日経過した花で、受粉が完了している花だけを残し、それ以外はきれいに取り除きました。
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休校中の食用作物Ⅰ
今回は、休校中の食用作物の作業風景を少し細かく報告します。食用作物(野菜)で栽培する、夏野菜の準備は二月下旬から始まりました。ピンセットで扱わないと分からなくなるような小さな種を、128穴の育苗パネル(セルトレイ)に播種し、外気温が氷点下になる環境の中温床ベッドを使用してガラス温室内で大切に管理しました。その後、3週間ほどすると育苗パネルでは窮屈になった苗を、育苗パネルから取り出しました。取り出されたセル成型苗(プラグ苗)は、根もしっかりと成長していたので適期と判断し、3号ポリポットに植え付けをしました。ポリポットに植え付けられた苗は、まだまだ小さく気温や実習のタイミングなどを見計らってガラス温室やビニールハウスなどに定植する実習を予定していました。しかし、4月7日に非常事態宣言が発出されたことにより事態が大きく変化し、食用作物担当教職員は今後の事態が急変することも考えられるので、苗の成長に合わせて実習を待たずに苗の定植作業を進めていくことを決めました。夜間の冷え込みにも耐えられるガラス温室には、トマトを定植しました。今、ガラス温室の中は温床ベッドに育苗パネル・定植を待つポリポット・定植されたトマトが多く管理されていて、カオス状態が広がっています。
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休校中の動物管理Ⅰ
臨時休校中の農場は、教職員が一丸となり学校再開に向けて日々の作業に取り組んでいます。そこで、今回休校中の動物管理の作業風景を少し細かく報告します。暖かい日と寒い日が交錯する3月中旬、農場にオーストラリア産女王バチが到着しました。担当教諭がケースに入った女王バチを確認しながら、旧王を除去した群れの巣枠の間に新女王バチのケースを挟み込んで作業が終了しました。一週間後、フェロモンの調整ができ女王バチの受け入れが可能になった様子なので、担当教諭がそれぞれの群れに女王バチを開放して今年の養蜂の授業準備が完了しました。数日後、群れが馴染んできたころに新女王バチの産卵を確認した後、翅切りとポスカによるマーキング(今年はホワイト)を行いました。例年は、女王バチの開放から後の手入れは、実習で行う作業ですが、今年は専攻生が新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で体験できないのが少し残念です。
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花々が咲き乱れているのに
4月7日に緊急事態宣言の発出を受けた大阪府にある、能勢分校は例外なく教育活動の見合わせを行っています。能勢分校農場では、さまざまな花が咲き、新入生・新学年生の新たなスタートを祝福する予定でした。しかし、今は新型コロナウイルスの早い終息を願ってひっそりと咲いています。今後、それぞれの選択授業で行う農場での管理作業の様子を不定期に発信していきます。いつ農場に来ても農場の授業に即対応できるように、想像力と専門的勉学に励んでおいてください。
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いつもと違う春の準備
2020年3月17日(火) | 農場このごろ
今年の早春は、いつもと違う状況が続いています。例年なら、食用作物の専攻生たちが2月の下旬から行っている夏野菜の播種ですが、今年は新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大防止で、休校の処置を行っているため、教職員がすべての作業を行っています。実習で使用する多くの野菜苗を生産する時期が来た為に、一粒ずつ種を蒔き少し成長したプラグ苗を丁寧にポリポットに植え付け、温度管理のされているガラス温室で大切に育てています。
新学期からは、元気に実習の行える環境になることを心から望んで作業は進んでいきます。